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富山の夜に中原中也を詠む
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 高速をひた走り、北陸を目指す。日本海を左手に数百キロ進み、富山にたどり着いた。僕たちは海岸沿いに佇む、小さな家を一日だけ借りた。

 大きなテーブルを囲みご飯を食べた。お酒も飲んだ。花火もした。天体観測も。

 縁側でお酒で火照った身体を海の風が冷ましてくれた。中原中也の詩を朗読するその声に耳を傾け、夏の終わりと、秋の始まりを感じた。そして、ずいぶん遠くへ本当に来てしまったんだ。

 何回も海に立ち寄り、黒部ダムにも行った。

 帰りは深夜高速をひたすら走った。ヘッドライトとネオン。追い抜くトラックの残像。それだけだった。

 ひと夏は人を大人にさせる。僕とアイリスは世界で一番近づいていった。




 
08/27 01:33 | せんちめんたるジャーニー | CM:0 | TB:0
失踪する夏
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ずいぶんと駆け足で夏が過ぎ去ってゆく。
それでいて自分自身がその流れに乗れているのかは分からない。

遠くの街に出掛けたり、アイリスと何処にも行かずに過ごしたりしている。それでも大学の夏休みは後半分も残されているのだ。
都会にいると、夏を通り過ぎる風のことなどまるで無いように思われて、暑さではなく気だるさを感じる。
金銭に余裕の無い暮らしが続き、満足に写真を今は焼けない。
08/19 20:07 | せんちめんたるジャーニー | CM:0 | TB:0
同じ痛みを感じるだけで


八月に入った。
そうアイリスは呟いた。それだけだった。

一切の不安や悲しみや恐怖はいつでも消し去ることは出来ない。満身創痍で進んでいくしかないのだ。いや、進んでいくという表現は正しくは無い。ただ、流されるままに時間は過ぎてゆく。いつだってそうだ。
あがいてもあがいても、何も手に入れることは出来ない。手に入れたいものなどなかったほうがよかった。何も知らなければ、覚えなければ幸せに暮らせたことは多い気がする。無知でいる方がいきやすかったりもする。

時間は沢山あるはずなのに、なぜだろう、無駄な時間をいつも過ごしてしまう。

それでいて行動できない。諦めてしまっている。

特別な才能が眠っているのにそれを見出せない。
誰もがそうであろう。

アイリスと一緒にいると言葉と時間を失う。
もっと失って行けたら。


08/01 01:56 | DayDream | CM:0 | TB:0
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