

高速をひた走り、北陸を目指す。日本海を左手に数百キロ進み、富山にたどり着いた。僕たちは海岸沿いに佇む、小さな家を一日だけ借りた。
大きなテーブルを囲みご飯を食べた。お酒も飲んだ。花火もした。天体観測も。
縁側でお酒で火照った身体を海の風が冷ましてくれた。中原中也の詩を朗読するその声に耳を傾け、夏の終わりと、秋の始まりを感じた。そして、ずいぶん遠くへ本当に来てしまったんだ。
何回も海に立ち寄り、黒部ダムにも行った。
帰りは深夜高速をひたすら走った。ヘッドライトとネオン。追い抜くトラックの残像。それだけだった。
ひと夏は人を大人にさせる。僕とアイリスは世界で一番近づいていった。