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光の中へ君は触ろうと手を伸ばしたのさ




京都に帰ってからはすぐ授業が始まった。もう部室に顔を出すことはなくなり、本当に引退してしまったんだとしみじみと感じている。

そんなことをぼんやり考えながら授業を受けているとメールが届いた。

「4限目が早く終わって、暇」

知るかいな。と思っていたら、ちょうどこっちの授業も終わった。五号館の正面で落ち合った。
「テストはできたのか?」と生意気に聞いて来る。
生協に寄り、コーヒーを買ってあげる。1号館の非常階段の一番上に向かい、授業終わりの学生達の群れを遠巻きに見ながら、「あのマンガはおもしろかった」と話す。
「もうすぐテストだし、しっかり単位とれよ」と言われる。適当に相槌を打ったり、時々突っ込みを入れながら、冬の風が頬を吹き抜けていく。

「一緒にここから飛び降りる?」

細い目をさらに細くして、ニヤニヤ笑う。危なげな笑顔に吸い込まれそうになりながら、「明治時代じゃないんだから」と真面目につっこむ。

ふわふわと笑い、「やっぱり冬はいいね」と言う。
「そうだね」と答えて、なぜだか泣きそうになった。

非常階段を下りて、別れる。
これからゼミの打ち合わせがあるのだ。会議室に向かうまでに学部の友達に偶然出くわす。最近のあいさつは「就活」らしく、会うやつ会うやつ、「就活」「就活」と叫ぶ。自分も同じように叫ぶ。危機感だけが募るばかりだ。

「一緒にここから飛び降りる?」

さっきの言葉が頭をまたよぎった。
手に持っていたコーヒーはもう冷たくなっていた。





01/08 23:51 | DayDream | CM:0 | TB:0
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